業務のスリム化に取り組もう!業務の改善ステップ【その2:業務プロセス見直し編】(医療・介護の経営コラム13)

前回のコラム(医療・介護の経営コラム12:https://seiken-bp.jp/archives/1327)では「業務評価編」としてお伝えしました。内容としては日常の業務を洗い出し、それぞれの業務の評価と流れの可視化を行う必要性をお伝えしたのですが、今回はその先の「業務プロセスにおける改善施策の考え方」についてお伝えします。

検討する順番を意識すると効果的な改善施策を実行できる

業務プロセスにおける改善施策を検討する上で心掛けたいポイントは検討する施策の順番を意識することです。順番通りに検討することで効果の高い順に施策を行うことができます。順番を間違ってしまうと他に効果の高い施策があるにもかかわらず、効果の低い施策を選択してしまう可能性が出てきます。思い付きで「これだ」と思い込まないようにすると最適な改善施策が検討できます。

改善施策その1:他の業務プロセスと一緒にできないか検討する

検討する改善施策の第1段階として、検討する業務プロセスが他の業務プロセスと一緒にできないかを検討します。他の業務において別のタイミングや担当者が同様のプロセスを行う状況がある場合、業務プロセスを一本に統合することができる可能性があります。統合できるのであれば、統合される同様の業務プロセスの部分は基本的に全て削減できるわけですから効果は高いものになります。

月次業務において複数の業務担当者がそれぞれのタイミングで同じシステムを立ち上げて異なる帳票を出力していたとします。これを同日に1人の担当者が全ての帳票を一度に出力するようにすれば、他の業務担当者がシステムを立ち上げて帳票を出力するプロセスは全て削減できるというわけです。これが月次業務ではなく、日々行われる場合であったり、多くのスタッフがそれぞれ行っていたりする場合、その改善効果はさらに大きなものになります。業務の統合を行うためには1つの業務のプロセスを眺めるだけでは見つけ出すことはできません。部署の業務全体を俯瞰しながら検討する必要があるといえます。

改善施策その2:業務のプロセスのインプットを置き換えられないか検討する

検討する改善施策の第2段階として、業務プロセスのインプットを置き換えられないか検討します。インプットとはスタッフ、時間、材料、キャッシュなど経営資源といわれるものを指します。完成する成果物は同じもので、消費するインプットが少なくなれば、成果物の価値は改善施行実施前と比較して高いものになります。スタッフが行う作業をシステムに置き換えたり、経験豊富なスタッフが行っている簡単な作業を経験の浅いスタッフに担当を変更したりすることが挙げられます。また、現在使用している材料をより安価な材料に置き換えたり、同じ価格でさらに上質な材料に置き換えたりすることも改善効果があるといえます。

置き換えに関する事例として、医事室における毎月発生する業務として医業収益の実績の報告がありました。その医療機関の医事システムでは診療科別の医業収益はシステムの集計機能を使えば計上することはできたのですが、未収金管理のために公費や福祉別の売上集計を実施する際に医事システムのパッケージの集計機能では対応できず、その集計を手計算で行っていたために多くの時間を費やしていました。しかしその後、手計算部分の作業についてExcelやAccessを活用した計算システムを新たに開発し、スタッフが行う作業をシステムに置き換えた結果、大きな時間短縮が実現しました。また、システム化によって今まで公費や福祉制度を熟知しているスタッフでないと実施できなかった業務が経験の浅いスタッフでも実施できるようになりました。このようにインプットの置き換えは、業務自体は残るものの投入されるインプットそのものを削減することで改善効果を出す施策であるといえます。

改善施策その3:業務のプロセスを簡単にできないかを検討する

検討する改善施策の第3段階として、業務のプロセスを簡単にできないかを検討します。例えば、現在ある業務において成果物を完成させるために5つのプロセス(1→2→3→4→5)を経ているとします。そのプロセスからムダ(4とする)を見つけて4つのプロセス(1→2→3→5)で同じ成果物を完成させたり、プロセスそのものを変化(Aは2と3と4の役割を果たすとする)させて3つのプロセス(1→A→5)で同じ成果物を完成させたりします。同じ作業プロセスを日々繰り返していると、そのプロセスが当然になってしまい、プロセスに関する問題意識がなくなってしまいます。管理者はスタッフに「なぜ今のプロセスなのか」「最善のプロセスは他にないのか」という意識を常に持たせるための取り組みを行う必要があります。

例えば、ある報告書を作成するために必要な5つデータをシステムからそれぞれ毎日5分かけて手作業で出力していたとします(5データ×5分/日=25分/日)。しかし、そのうち3つのデータはシステムから毎日夜間に自動作成されていることが判明したため、そのデータを利用するプロセスに変更したというような場合、当然ながら業務プロセスは15分削減できるわけです(3データ×5分/日=15分/日) 。このように、担当者が知らないところで必要なデータが作成されているということは意外に多いものです。それらを活用することで業務プロセスが削減できるものがないか今一度確認することが重要です。

今回のコラムのまとめ

今回は「業務プロセス見直し編」として業務管理についてお伝えしました。前回のコラムの冒頭に業務負荷の軽減のためのシステム導入の話をしました。業務軽減や効率化のためにシステム導入を行うことは決して悪い話ではありません。しかし、現在の業務を見直すことなく現状のまま新たなシステム導入を行うことは、開発のために多くの工数が要求されるリスクもありますし、導入後に新たなシステムの見直しに迫られるリスクも発生してしまいます。そのようなことをなくすためにも各部門における定期的な業務の把握と見直しは管理職の責務といえます。今後、ますます経営環境が厳しくなる医療機関・介護施設の管理職の皆さんには、自らが管理する部門において付加価値の高い業務が日々行われるように努力する姿勢があらためて求められているといえるでしょう。

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