ストーリーがつながる事業計画を策定しよう(医療・介護の経営コラム14)

3月も下旬に入り、そろそろ年度末が近づいてきました。4月になると新たに入職するスタッフや他部署からの人事異動のスタッフが加わるなど、組織内が少し慌ただしくなる時期を迎えることだと思います。

新たな年度を迎えるにあたり、あなたの医療機関や介護施設では次年度の事業計画は既に出されているでしょうか。もしかすると事業計画の策定が行われていないということはありませんか。年度の事業計画が策定されずに日常の業務だけが繰り返し行われている場合、あなたの組織は将来にわたり事業を継続させるために現在行うべき取り組みが計画的に行われておらず、貴重な経営資源(ヒト・モノ・カネなど)を浪費させている可能性もあると考えられます。

本来であれば事業計画によってその年に「やること・やらないこと」を明確にして年間の売上・費用・利益の計画が立てる必要があります。もし、事業計画を立てないままに年度予算などを策定してもその通りにならない可能性が多いのです。経営者は新たな事業年度を迎えるにあたり、数か月前から将来に向けた経営戦略を策定し、その達成に向かっての次年度行うべき実施計画を検討する必要があります。今回は経営戦略から事業計画を策定するためのステップを確認してみましょう。

医療機関や介護施設の存在意義を「経営理念」に表す

まず初めに確認することは、あなたの組織は医療や介護という事業を通じて社会に対してどのような価値を提供することを目的としているのか、その「存在意義」を明確にする必要があります。あなたの組織は社会にどのような価値を提供したいのでしょうか。医療や介護というサービスを通して何かしらの価値を提供しなければ、あなたの組織が社会に存在し続けることはできません。

もしも存在意義を明確にすることが困難であればこのように考えてみます。例えば医業や介護の収益はあなたの組織が対象としている市場から受け入れられている程度の「評価」と考えることができます。サービスの提供に対して対価を支払ってくれているということは、少なくとも何らかの価値を提供している証拠です。それは一体どのような価値なのかを振り返ることで存在意義を明確にすることができるといえます。もしそれが本来提供したいサービスではないと考えるのであれば、現在行っている事業自体を見直す必要があるのかもしれません。経営理念は上位概念であるため、抽象的な内容になる場合がほとんどです。それを具体的な形として明確にしていくのが次のビジョンにあたります。

経営理念を形にする「経営目標」を設定する

経営理念において存在意義を明確に設定しても、それを具体的な形として実現するような事業を展開しなければ、どれだけ高尚な経営理念を掲げても「絵に描いた餅」になってしまいます。そのようなことを避けるためにも経営目標を設定すると同時にその達成の定義を明確にする必要があります。例えば「どのような経営目標を・いつまでに・どのような状態にするのか」をスタッフや利用者に理解できるように見える化したり、経営目標の達成の成否を判断するために目標を数値化したりすることが重要です。そうすることで次に説明する事業計画の成果がどこまで表れているのかを確認することができるのです。

具体的な活動を「事業計画」に落とし込む

経営目標が明確に設定されればそれを達成するための具体的な活動がイメージできます。それは例えば、設定した経営目標を達成するための「課題」であったり、解決しなければならない「問題」であったりと様々ですが、それらに対する具体的な行動を「事業計画」として落とし込みます。事業計画では具体的な活動を計画するのですから「5W1H」で落とし込みを行うことがポイントです。すなわち「なぜ(目的)誰が(担当者)いつ(実施期間)何を(実施事項)どこが(担当部門)どのように(方法)」を意識しながら行動計画を策定することが重要なのです。また事業計画を策定する際には、計画が適切に進捗しているかを判断する基準を設定することが大切です。ここでも判断基準は数値で表現できるものが良いといえます。

全てが論理的につながるか確認する

最後に経営理念・経営目標・事業計画がストーリーでつながっているかを確認します。それぞれの段階の策定作業に集中してしまうと、知らないうちに話がつながらない項目が含まれているものです。内容のつながりがない項目がある場合、大きく下記の2つが考えられます。

① 経営理念・経営目標などの上位概念に本当に関係がない「不要な項目」

② 経営理念・経営目標などの上位概念に設定されていなかったが「必要な項目」

①の場合は不要な項目であるため削除して問題はありませんが、②の場合は上位概念に組み込む必要性がある内容のため修正が必要になります。このように策定作業の過程において論理的な関係性が正しく成立しているか確認しながら策定を進めることが大切です。

今回は、事業計画策定に関する事項を説明しました。将来に向けた事業計画が存在しない組織は貴重な経営資源を無駄に消費してしまうリスクが存在します。また、事業計画が存在しないと組織として取り組む活動の方向性が明確にならないため、「私たちは仕事を通じて何をやりたいのか」がわからず、スタッフ間の行動の方向性もバラバラになってしまいます。それは組織として避けるべきことであり、その意味においても組織としての具体的な活動が明確になる事業計画は必要不可欠なものであるといえます。

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