経営戦略を展開するために必要な3つのポイント(医療・介護の経営コラム20)

あなたの医療機関や介護施設では、将来のビジョンを目指すための経営戦略は策定されていますか。もし、経営戦略などが存在せず、業務を日々繰り返しているだけであるならば、医療・介護業界や周辺地域などの環境変化に適応するための対策や、将来の成長に向けた取り組みが計画的に実施されていないため、将来に向けた成長を継続させることができない危険性が高いといえます。自分達を取り巻く環境を把握し、適応し続けることが将来に向けて成長するための条件ともいえます。

しかし一方で、医療機関や介護施設で経営戦略が策定されているにしても、その経営戦略を展開するための具体的な活動計画までの落とし込みはされているでしょうか。ビジョンの実現のためには長期的な取り組みが必要です。経営戦略の展開は経営層だけで行うものではなく、組織全体が一丸となって行うものです。しかし、経営戦略を展開するための具体的な実施計画が明確でなければ、経営戦略は「絵に描いた餅」になってしまうのです。

例えば、経営戦略において「2025年に地域における高度医療サービス提供病院としての中核的存在を確立する」というビジョンが設定され、そのビジョン実現の達成目標項目の一つとして「3年後に紹介率65%を達成するため地域連携機能強化を図る」という実施項目が設定されたとします。しかし、これでは地域連携機能強化のための具体的な実施計画が存在しないため、このままではどのような活動を行うべきなのか実際に活動するスタッフは分からないのです。このような事態を避けるためにも、今回は策定された経営戦略を展開するために必要なポイントについてお伝えします。

経営戦略の内容を各部署のスタッフと共有する

経営戦略の展開のためには各部署のスタッフに経営戦略の内容を伝える必要があります。経営戦略は経営者・経営層・経営企画室などが中心になって策定する場合が多いですが、先述したようにその展開は組織全体で行うものです。各実施項目には取り組むに相応しい部署があり、ビジョン達成に向けた日々の活動は該当部署のスタッフが中心になって行われる場合が圧倒的に多いのです。そのため、各スタッフが自分達の組織が今後どのようなビジョンを掲げて将来に向かって行くのかを理解する必要があります。

人は目標に向かって行動する生き物ですから、経営戦略の展開には組織の全員でその内容を共有することが重要です。そうすることで、各スタッフの力を経営戦略の展開のための大きな原動力に変えることが可能になるのです。全スタッフ参加による経営計画発表会を開催し、経営者自らが将来への想い・ビジョン・経営戦略を全スタッフに向けて直接語る必要性はそのためにあるといえるでしょう。

活動計画の策定に各部署のスタッフを参加させる

経営戦略を展開する際の活動計画の策定には、実行部署の現場スタッフを参加させることが重要です。経営戦略上の目指す姿を達成するためには、解決しなければならない様々な問題・課題が存在しますが、それらを解決するためには、対象となる事柄の現状を把握する必要があります。事柄に対して問題意識を持っているかは別として、その事柄の現状について現場スタッフは知っています。彼らから対象となる事柄の現状を聞き出すことで目指す姿とのギャップを把握する必要があります。

また、問題・課題の解決には具体的な活動が必要になりますが、活動に必要となる人員・設備・資金などの経営資源の程度は施設の規模によって異なります。当然、活動レベルも施設の規模によって異なるため、それぞれの施設の状況に相応しい活動を検討する必要があります。経営戦略を実際に展開するのは現場スタッフです。彼らに目標達成のために自分達は何を行えば良いのか、現実的に実施できることは何かを検討させることで、現実的な活動計画に落とし込むことができます。

経営層や管理職は経営戦略の展開に関わる活動を支援する

経営戦略の確実な展開のためには、各部署のスタッフによる活動計画の遂行を支援する体制作りが必要です。先述しましたが、ビジョンの実現に向けての取り組みは一部の部署だけで達成できるものではなく、部署間の連携や協力などが必要であることから、組織全体が一丸となって実施していく必要があります。そのため、経営層や管理職は、部署間の連携や協力がスムーズに行えるように様々なフォローを行う必要があります。

例えば、ハード面の支援としては、戦略実行のために設備が必要な場合はその提供、チーム編成が必要な場合は人的リソースの提供や組織体の編成などがあるでしょうし、ソフト面の支援としては、戦略実行のために必要な知識やスキルを習得する必要があれば研修やセミナーへの参加の機会の提供、他部署とのコミュニケーションの関係性強化のための場の提供、取り組んだ部署やスタッフの結果やプロセスを評価する仕組みの構築などが考えられます。このように、経営戦略の展開に関わる活動を支援することは、経営層や管理職が行うべき重要な取り組みであるといえます。

今回のコラムのまとめ

今回は、経営戦略を展開するために必要なポイントについてお伝えしました。ビジョン実現のために策定した経営戦略を無駄なものにしないためにも、経営戦略を経営層・管理職だけではなく各部署のスタッフにも共有させ、設定された実施項目が着実に実行されるように、具体的な活動計画を策定する際に各部署のスタッフを参加させることが必要です。また、活動計画の遂行には部署間の連携や協力が必要になりますが、経営層や管理職が適切な支援を行い、それらの環境を提供することが経営戦略の展開を左右するポイントの1つといえます。あなたの医療機関や介護施設においても実現可能性の高い活動計画を策定し、着実な経営戦略の展開を目指されてはいかがでしょうか。

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